Chiyu PhotoBy lilac
私のカメラ人生はQV-10というデジタルカメラから始まりました。その前にもフィルムカメラを触っていましたけどやっぱりデジタルからスタートした感覚があります。
最近一眼レフが売れているようです。コンパクトなカメラを使っていて便利な反面、貯まっていくデータをよりよく、と考え、一眼レフも使い始める、というのは当然の流れだと思います。
ノートパソコンがデスクトップパソコンを駆逐しないように、コンパクトと一眼レフは使い分けです。そこでこれから一眼レフも使い始める方のためのちょっとした知識を少しだけ。
まずはなぜ一眼レフカメラが存在するの?です。
そもそも一眼レフってなんだ?という話です。くわしくはwikipediaの一眼レフをどうぞ。簡単にすると、レンズから入ってくる映像をそのままのぞくことができて、シャッターを押すとその映像の光はのぞいている場所(ファインダー)ではなく、鏡の板をを動かして映像素子に光を当てることができる仕組みのことです。
(最近だとライブビューという仕組みのカメラもあります。これはレンズから入ってくる光をそのまま見るのではなく、CCDやCMOSなどの映像素子経由で液晶に表示するものです。 )
で、そういう仕組みが一眼レフを一眼レフたらしめてるわけではないのです。
ポイントはどちらかといえばそういう仕組みではなく、レンズです。
普通のコンパクトデジタルカメラやケータイカメラとの最大の違いはレンズです。直径も1センチ程度、厚みも数ミリのレンズとなにが違うんでしょう?
答えは被写界深度です。よく背景がボケボケのピントがちゃんと見せたい部分にだけ合っているというアレです。
大きくて重たくて高いレンズをわざわざ使う理由はこの被写界深度がポイントだからです。
PhotoBy lilac
この写真はプレーリードッグですが、右のプレーリーくんがはっきり見えて、左下のプレーリーくんはぼやけています。背景の黒い柵もぼやけています。被写界深度は、カメラから3mの距離まではぼけて、3mから5mはピントがあって、5mから先はまたぼやける、という状態、それを被写界深度と表現します。 深度なので浅い、深いみたいな表現をします。浅いのは例えば3mから3m10cmの間だけピントがあう状態とかが浅い、です。3mから100mとかずっと遠くまでピントがあう状態とかを深い、と表現します。
それはなにが原因で浅くなったり深くなったりするか、というと、まずは映像素子のサイズです。
1/3インチCCDとか表現されているのはその映像素子のサイズで、このサイズが大きいほど被写界深度が浅くなりがちになります。デジカメ一眼レフでいうと、35mmサイズの映像素子とAPSサイズ (23mmくらい)の映像素子(CCDとかCMOSとか)などの受光体では35mmサイズのほうが浅くなりがちです。
次にレンズです。レンズの明るさが明るいほど(光が沢山レンズを通るほど)被写界深度は浅くなります。つまりぼけやすくなります。明るさを表現するのにF値という数字が使われます。F値の数字が小さいほど明るいです。例えばF2.8とかF4.8とかそういう表現をします。F値は数字が小さいほど明るい状態を示します。F値は固定ではありません。レンズには絞りという羽根が何枚か仕込んであって、その羽根を動かすことで中を通る光の量を変化されることができます。
絞りを絞る(光)を減らすことでF値が大きくなり、被写界深度が深くなります。光を減らすのでその分暗くもなります。
つまり被写界深度を浅くしたい、背景がボケた写真を撮りたい場合には、映像素子の大きいカメラ、そしてF値が小さいレンズが必要、ということになります。
そう、普通のコンパクトデジタルカメラは映像素子が小さく、F値が大きいんです。
ちょっと比べてみます。ニコンのフラッグシップD3ですが、
撮像素子 : 36.0×23.9 mmサイズCMOSセンサー
です。 35mmは実際には36mmの場合が多いようです。同じくニコンで
Nikon デジタルカメラ COOLPIX (クールピクス) P50 COOLPIXP50
を見ると
撮像素子 : 1/2.5型原色CCD
とあります。これは5.7×4.3ミリのことです。面積比でいうと、D3の2.8%程度の面積です。まさしく月とスッポンですね・・・金額は20倍くらい?D3って安いんですねー(勘違い)
というわけで映像素子のサイズ重要です。実は画素も重要です。なぜかというと、 上記のP50は810万画素です。でD3は1210万画素。D3はP50よりも50%程度多いだけです。映像素子の大きさは2.8%しかない機種相手に、です。これはP50がいかに映像素子の小さい面積で1画素を取り込んでいるかということになります。
今後カメラを選ぶときにはぜひこの映像素子のサイズを注意してみてください。まずは面積が大きいこと。しかし、実はコンパクトデジタルは、たとえここが少しマシになったとしても、肝心のレンズに問題があります。レンズが交換できない以上、レンズに問題があったら致命的です。
今回は一眼レフの話だとすると、ここはクリアしている(APSサイズはある)として、次はレンズです。実際映像素子の大きさは撮影では変わらないので、撮影の実際のカメラの操作では、この被写界深度をコントロールする方法として
- F値をなるべく小さくする
- 被写体を遠くする
- ズームレンズであれば、 望遠側を使う(大きく写るほう)
- マクロレンズを使う(近くに寄って撮影ができ、被写界深度が浅いレンズ)
沢山ありますね。でも実は3と4はちょっと違います。望遠側を使うというのは被写界深度を浅くするにはいいんですが、F値が大きくなる傾向にあります(レンズによる)し、だいたい望遠レンズ自体が遠近感が弱まる映像になります(被写体との距離を変えるのとズームを使うのと意味が違うのはこのため)。マクロレンズはレンズの種類なので、カメラとの組み合わせの話です。撮影の場面では、F値を小さく、例えばマニュアル撮影か露出優先撮影(F値を最小値に固定して撮影する)して被写体から自分が気持ちいい距離を取る、ということだと思います。
F値固定の露出優先撮影は基本だと思います。シャッター速度が被写体の明るさで変わりますが、F値が小さいほど明るいのでシャッター速度が速くなり、ぶれにくくなります。
レンズのズームやF値、マクロレンズなどの話はまた別に。
参考となる情報のサイトをリンクしておきます。
※間違いとかあれば是非教えてください。